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【トピック30】「WAIC 2026(世界人工智能大会)」AIで激変する世界と日本2026.08.16

【結論】
2026年7月のWAIC上海で、中国Moonshot AIが
2.8兆パラメータの「Kimi K3」を発表し、世界
最大のオープンソースモデルとして、 米国勢と
肩を並べました。
しかし、AIモデルは、誰でも調達できる「手段」に過ぎません。
真の競争優位は、 AIが 出した答えから、
「人間が学び」、その知見を「組織知へと
変換」し続けられるかどうかにあります。
1. 中国上海で目撃した、静かな地殻変動
① 2026年7月17日~20日にかけて、 上海で開催
された「WAIC 2026(世界人工智能大会)」には、
1100社を超える企業と 300点以上の新製品が 集
結しました。
OpenAIや Google、Anthropic といった 米国勢
に対し、DeepSeekやAlibaba、Moonshot AIの
中国勢が会場を賑わせました。
②特に注目されたのが、
Moonshot AIが発表した「Kimi K3」。
総パラメータ2.8兆、世界最大のオープンソース
モデルとして 視覚理解にも対応し、 最大100万
トークンの文脈処理能力を備えています。
↓
中国メディアはこれを「世界最大のオープン
ソースモデル」と報じ、海外の一部トップモ
デルに迫る性能だと評価しました。
③日系企業の経営者にとって重要なのはこの競
争の勝敗を遠くから眺めることではありません。
AI半導体をめぐっては米国NVIDIAと中国ファー
ウェイという構図が、明確になりつつあります。
④その一方で、製造装置・素材・検査装置という
「ハードウェアのサプライチェーン」では日系企
業が、依然として厚い存在感を持っています。
つまり 日本の勝ち筋は 「AIモデルを作る会社」
ではなく、「AIを作るための土台を支える会社」
にあるという見方は一定の説得力を持ちます。
⑤しかし、それだけで十分だと考えるのは危険です。
土台を提供する側に安住している限り、その土
台自体がいずれ「模倣」され、あるいは「代替」
される可能性は否定できません。
重要なのは土台という物理的な優位性をどうやっ
て、 知恵という無形の優位性へと変換していくか。
↓
その変換を担うのは、以下になります。
「AIと向き合う人間の学びの姿勢」
2. 企業の力を決める3層構造
①AI時代の企業競争力は、次の3層
で捉えると、整理しやすくなります。
第一に「AIモデル」
第二に「個人の能力」
第三に「会社の知見(ナレッジ)」
②多くの企業は 第一層の「AIモデル導入」
に躍起になりますが、 モデルは誰でも同
じものを調達できる手段にすぎません。
差が生まれるのは、そのモデルをどう使い
こなし、以下の第二層・第三層の部分です。
「そこから何を学び、組織の知として蓄積するか」
③この考え方を象徴するのが、以下の指摘です。
「真の機会は、最良のモデルを選ぶことではなく、
モデル上に学習のループを構築することにある」
↓
そこでは「人的資本と AIへの投資」が
複利のように、 積み重なっていきます。
④タスクは任せられます。
仕事の一部または全部を丸ごと委託することもできます。
↓
しかし、そのプロセスを通じて自分自身がど
う成長するかだけは、誰にも委託できません。
これが「学びのオフロード不可能性」。
学びのオフロード不可能性とは、学びを他人や道具
に全部お任せすることはできないという考え方です。
例えば、重い荷物は誰かに運んでもらえます。
でも自転車の乗り方や計算の理解は、
説明を聞くだけでは身につきません。
自分で練習し、考え、失敗して、
初めて「できる」ようになります。
AIは情報を覚える手伝いはできますが、あな
たの頭と心が変わる部分だけは代われません。
だから学びには、必ず自分の活動が必要になります。
⑤日本の企業文化を振り返ると、ここに大きな示唆があります。
長年「属人化の排除」が美徳とされ、誰が担当しても
同じ結果が出る仕組みづくりが、評価されてきました。
↓
しかし、AI時代においては、特定の社員が AIと深く対
話し、試行錯誤を重ねる中で得られる「学びの属人化」
こそが、むしろ最大の資産になり得ます。
問題は、それを個人の頭の中に留めてしまうか、
組織として吸い上げる仕組みを持てるかという
一点に尽きます。
3. 現場に見る「学習ループ」の実例
(例❶)WAIC 2026の展示会場では、ハンドウェア
企業 BrainCoが、 脳波(EEG)ヘッドセットだけで
ロボットアームにコップを掴ませるデモを 披露し、
来場者の注目を集めました。
使用者が「コップを取る」と考えるだけで脳信号を
AIが解読し、意図をロボットの動作へと変換します。
(例❷)岩山科技も、脳波でゲームキャラ
クターを 操作するシステムを展示しました。
①これらは AIが人間の意図を読み取り、行動に変換
するという 「未来の働き方を先取りするもの」です。
②ここで大切なのは、AIが「答え」を出す一方で、
「なぜその答えなのか」を理解し、次の判断に活
かすのは人間の役割だという点。
(例❸)例えば発電計画の最適化業務では、天候や
電力市場価格などの条件を元に、 AIが複数パターン
の計画案を一瞬で生成できます。
③これは典型的な「タスクのオフロード」です。
しかし優れた企業はそこで終わりません。
以下を人間が分析し、次回の計画に反映させます。
・なぜそのシナリオが選ばれたのか
・どのパラメータが結果を左右したのか
↓
このサイクルこそが「学習ループ」
であり会社固有の資産になります。
タスクのオフロードとは、コンピューターや人が抱えて
いる仕事の一部を別の機器・サービス・人に任せること。
例えば、 CPUの重い画像処理を GPUに任せると、
CPUの負担が軽くなり、全体の動作が速くなります。
「仕事を分担して、メインの負荷を減らす」と考えます。
4. 個人事業主と会社員、そして日本企業への3つの提言
① AIの前では、個人事業主と会社員
は かつてより対等な立場に立ちます。
かつては 「組織の力」が個人に対し
て圧倒的な優位性を持っていました。
②しかし今や、個人が AIツールを駆使すれば、
かつての大企業並みの 分析・生成・計画立案
が一人でも可能になりました。
その意味で、個人事業主のビジネスは大きな追い風を
受けている一方、既存の会社員にとっては「存在意義
そのものが問われる局面に入った」とも言えます。
↓
とはいえ、会社員には以下が残されています。
「組織に蓄積された知見という武器」
③個人事業主が持つ機動性と、会社員が持つ組織知。
どちらが優れているかという単純な比較ではなく、
両者に共通して問われているのは、 AIから得た結
果をどれだけ「自分自身の」または「組織の学び」
へと変換できるかという一点です。
勝敗を分けるのは、どちらが「学びのルー
プを回し続けられるか」にほかなりません。
④日系企業への提言は3つ。
【提言❶】AIを導入したで満足しないこと。
導入はスタートラインであり、ゴールではありません。
【提言❶】属人化を過度に恐れないこと。
特定の社員が、AIと深く対話し 積み上げたノウハ
ウを、いかに組織知へ昇華するかが鍵になります。
【提言❸】ベテランの暗黙知や、過去の失敗事例、
顧客とのやり取りに眠る インサイトをテキスト
化・データ化し AIが参照できる状態にすること。
ここに、他社が模倣できない
「会社固有のモデル」を育てる種があります。
インサイトとは、表面には見えにくい仕事を
うまく進めるヒントや、本当の気づきのこと。
たとえば、ベテランの勘、失敗から分かった注意
点、顧客が何気なく話した不満などが含まれます。
5.【FAQ】
Q. AIモデルを導入しさえすれば、競争力は自然に上がりますか。
A. いいえ。モデルは誰でも調達できる手段であ
り、 それ自体は競争優位の源泉にはなりません。
Kimi K3のような最先端モデルも 契約さえ
すれば競合他社も同じように利用できます。
優位性が生まれるのは、AIの出した結果を人間が分
析し、なぜその結果になったのかを理解し、組織の
知見として蓄積し続けるプロセスにあります。
「導入しました」という報告で満足せず、その先
にある学習ループをどう設計するかが、経営と
して問われるべき本質的な課題です。
6. まとめ(学習ループを回し続ける企業だけが生き残る)
①AI全盛時代に生き残る会社と社員の条件は以下に尽きます。
「学習ループを回し続ける能力を持つこと」
学習ループを回し続けるとは、 仕事で試す、結果を振り返る、失敗
や成功から学ぶ、次の行動を改善する、という流れを繰り返すこと。
AIや市場が変化しても、 学びを止めず、知識や経験を積み重ねて成
長できる会社や社員ほど、変化に対応し、生き残りやすくなります。
② AIモデルは、もはや選ぶ時代では
なく、 使いこなす時代に入りました。
個人の能力は、AIとともに複利で成長させるものであ
り、会社の知見はデータ化し、以下の必要があります。
「AIと人間の双方が参照できる形へと整えていくこと」
③タスクは任せられます。仕事そのものも任せられます。
「しかし、学びだけは誰にも任せられません」
↓
この当たり前の原則を 愚直に実践する企業
だけが、2026年以降の AI激変期を生き抜く
ことができると考えます。
④上海で日々、 日系企業の WordPress・Shopifyサ
イト構築や、GEO対応を支援している立場から見て
も、この原則は経営そのものに直結しています。
AIに任せられる部分をどれだけ手放せるかではなく、
以下がこれからの経営判断の中心に据えられるべき。
「その過程で自社に何を残せるかという問い」
↓
それは人間が本来やるべきことが、むしろ明確に
なるという意味で希望に満ちた未来でもあります。
(参考)従来の営業方法だけでは売上に繋がらなくなった中国低成長市場
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