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【日本J62】 なぜ「経営ビザ」資本金3,000万円改正は警告なのか?2026.08.21

2025年10月の「経営・管理ビザ」改正で、資本金要件が500万円から3,000万円へ引き上げられました。既存者は2028年10月まで猶予あるが、それは免除ではなく、実質的な経営実態が問われる制度へ転換しました。

 

【結論(まず、ここだけ読めば分かること)】

2025年10月16日、外国人向け在留資格「経営・管理
ビザ」の 資本金要件は 500万円から 3,000万円へと、
実に6倍に引き上げられました。

 

 既存保有者には2028年10月16日までの3年間の経
 過措置がありますが、 これは 「何もしなくてよい」
 という意味ではありません。

 改正の本質は単なる規制強化ではなく、
「登記だけの会社」を市場から退場させ、「実態
 ある経営」だけを選び抜く国のメッセージです。

 

 そしてこれは、日系企業自身にも「あなたの
 会社は、 3,000万円分の実質を持っているか」
 という重い問いを突きつけています。

 

 経営・管理ビザとは、外国人が日本で会社を経営
 したり、管理職として働くための在留資格のこと。

 

 

 

 1. 何が変わったのか(500万円という夢の入り口の終焉)

①かつて経営・管理ビザは、中国をはじめと
する海外の起業家にとって、日本で挑戦する
ための現実的な入り口でした。

 

旧基準では「資本金または出資の総額500万円以上」
もしくは「常勤職員2名以上の雇用」のいずれかを
満たせば、足りました。

 

 

②故郷の家族や親戚から資金を集めれば 手が届く
500万円という金額は、貿易業や飲食業、越境EC
といった 小規模ビジネスの土台として、 ぎりぎり
現実的な水準だったのです。

 

 

③しかし日本の出入国在留管理庁は2025年10月16日、
上陸基準省令等を改正し、 この構造を 根本から変え
ました。

新基準では 「資本金等3,000万円以上」と「常勤
職員1名以上の雇用」の両方を満たす必要があり、
従来の「いずれか一方でよい」という選択制は廃
止されています。

 

さらに、常勤職員としてカウントできるのは 日本人
・特別永住者・永住者・日本人の配偶者等・定住者
に限られ、就労ビザ保持者は対象外です。

 

 

④加えて、申請者または常勤職員のいずれかに一定
の日本語能力(B2/N2相当)が求められ、経営に従
事する者にも、経営・管理分野での修士以上の学位、
または3年以上の実務経験という学歴・職歴要件が
新設されました。

 

事業計画書についても、中小企業診断士・
公認会計士・税理士など専門家による評価
が義務化されています。
   ↓
背景にあるのは、制度の悪用です。

 

 

B2/N2相当とは、日本語力を6段階(A1〜C2)で表し
た国際基準の「上から3番目・中上級」で、 仕事や役
所の手続きを一人でこなせるレベルのこと。

経営・管理ビザでは、日本語能力試験N2以上か
BJT400点以上などで、証明でき、本人でなく常
勤職員1名が満たせばOKです。

 

 

⑤入管庁によれば、経営ビザでの在留者は2024年
時点でおよそ4万1,000人にのぼり、5年前と比べ
て5割も増加していました。

 

国会では「手軽に定住するための抜け穴になっている」
との指摘が相次ぎ、 実態のないペーパーカンパニーを
設立して、 ビザだけを取得するケースが社会問題化し
ていたのです。

 

 

⑥国際比較で見ても以下のように
同種のビザに資本を求めています。

・韓国は約3,200万円
・米国は約1,500万〜3,000万円
   ↓
日本の従来基準(500万円)は諸外
国と比べて、突出して緩やかでした。

 

 

 

 2. 「2026年に会社が消える」は本当か
(経過措置という正しい理解)

①インターネット上では「資本金を用意でき
なければ強制帰国」といった不安を煽る言説
も見られますが、これは正確ではありません。

 

出入国在留管理庁が公表する公式Q&A
は 「この誤解」に明確に答えています。

 

 

②「施行後3年が経過するまで(令和10年10月16日
まで)の間は、 新たな基準を 満たさない場合でも、
そのことのみをもって、在留期間更新許可申請が不
許可になることはありません」。

 

さらに「3,000万円を準備できなければ 帰国しな
ければならないと聞きましたが、本当でしょうか」
という問いに対しても、入管庁は「事実ではあり
ません」と明言します。
  ↓
経営状況が良好で納税義務を適切に履行し、
次回更新までに新基準を満たす見込みがあ
れば、総合的に判断されるとしています。

 

 

③つまり、既存の経営者にとって 2026年時点
で 即座に危機が訪れるわけではなく、 実質的
な分岐点は経過措置が終わる2028年10月16日
に置かれています。

 

とはいえこの3年間が「猶予」であ
って「免除」ではない点は重要です。
    ↓
資本金を3,000万円まで積み増すには、 仮に内部留保
だけで賄うなら年間800万円前後の純利益を3年以上
積み上げる計算になり、決して容易ではありません。

 

 

④加えて、新規に申請する外国人経営者にとって
は新基準がすでに即時適用されており、資金調達
の難度は跳ね上がっています。

 

新規の小規模事業者に対して金融機関が融資
に慎重になる傾向も指摘されており、結果と
して「自己資金を用意できる層」以外は日本
での起業という選択肢そのものが、狭まりつ
つあるのが実情です。

 

 

⑤なお、法人だけでなく個人事業主として経営・
管理ビザを申請する場合も無関係ではありません。

 

この場合の「3,000万円」は登記上の資本金その
ものではなく、「申請に係る事業の用に供される
財産の総額」を指す、とされ、事業所の確保費用、
雇用する職員の給与1年分、設備投資の経費など
を合算した投下総額として評価されます。
   ↓
つまり法人・個人を問わず、名目上の数字では
なく実際に事業へ投じられている資金の厚みが
問われる制度へと変化した点は共通しています。

 

 

⑥実務の現場でも、この変化はす
でに具体的な形で、現れています。

 ある行政書士事務所の解説によれば、初年度の法
 人税確定申告を怠っていたことが原因で、更新や
 在留資格認定で不許可となるケースが実際に報告
 されています。

 

 資本金の額そのものよりも、「納税実績」や
「経営実態を裏付ける書類」の有無が、審査の
 分かれ目になっている実例が示されています。
    ↓
 これは単に大きな資本金を用意すればよいという発想
 では新基準を乗り越えられないことを物語っています。

 

 

 

 3.【FAQ】経営者が最も気になる疑問
Q. 既に、経営・管理ビザを持っている外国人経営者は、
今すぐ 3,000万円を用意しなければならないのですか?

 

A. いいえ、直ちに用意する必要はありません。

2025年10月16日の施行から3年間(2028年10月16日
まで)は 経過措置が設けられており、  新基準を満た
さないことのみを理由に、更新が不許可になることは
ないと出入国在留管理庁が公式に説明しています。

 

ただし、これは免除ではなく 準備期間であり、経営状
況の健全性や納税実績、新基準を満たす見込みの提示
が、更新可否を左右する重要な判断材料になります。

 

 

 

 4. 日系企業への問い
(実質を持たない会社は、もはや生き残れない)

①この改正が突きつけているのは、外
国人経営者だけの問題ではありません。

 

むしろ日系企業にこそ刺さる問いがあります。
    ↓
それは「あなたの会社は、 3,000万円の資本
を投じた事業と同等の実質的価値を、市場に
提供できているか」という点です。

 

 

②これまで日本市場に参入してきた中国人起業家
の中には、ECサイトの活用やSNSマーケティング
を駆使し、スピード感をもって、小規模ながら実
質的な事業を築いてきた例が少なくありません。

 

 その厳格化された選別を乗り越え、なお日本市場
 に残ろうとする経営者は、資金力と事業計画の両
 面で相応の実力を備えた存在になっていきます。
   ↓
 競争相手が減るのではなく、以下と捉えるべきです。

「より本気度の高い競争相手と向き合う時代が来る」

 

 

③日本政府が求めているのは、
「量より質、形式より実質」。

 

 これは日系企業にとっても他人事ではなく、
「自社のビジネスモデル」が本当に資本や労
 力に見合う価値を生んでいるか、を見直す
 好機と言えます。

 

 

④既存の温い市場に安住し、
新しい価値創出を怠っていないか。

ただ登記をして事業を続けてい
るだけの状態になっていないか。
  ↓
この改正をきっかけに、自社の「実質」を
今一度問い直す企業こそが、これからの日
本市場で選ばれていくはずです。

 

 

⑤さらに視点を広げれば、
これは自社単独の話にとどまりません。

海外の取引先や協業先が、経営・管理ビザの新基準に
どう対応しているかを把握しておくことも、 日系企業
にとって新たなリスク管理の一部になりつつあります。

 

 

⑥理由は、取引先の在留資格や事業体制
が不安定であれば、契約や取引の継続性
そのものに影響が及びかねないから。

 

制度改正の動向を「自社の外の話」として
ではなく、パートナー企業を含めた事業環
境全体の変化として捉える視点が、これか
らの経営者にはより一層求められます。

 

 

 

 5. まとめ(地殻変動を自社進化のきっかけに)

① 2025年10月の資本金引き上げは、 外国人起業家
に対する規制強化である、と同時に、日本市場全体
に向けた「量より質」への転換宣言です。

 

 

②既存の経営・管理ビザ保有者には2028年10月16日
までの 経過措置がありますが、 その先を見据えた準
備は今から必要です。

 

 そして日系企業にとっては、この制度改正を
「対岸の火事」とせず、自社の事業がどれほど
 の実質的価値を持っているか、を見つめ直す
 契機とすることが、これからの市場で生き残
 るための最も確実な一歩になると考えます。

 

 

(参考)なぜ、中国で日系企業の会社閉鎖相談が急増しているのか

 

 

 

■著者プロフィール(おおつき):
アジアにおける、BtoBマーケティングのプロフェ
ッショナルを自認する中国上海に住む日本人です。
Shopifyによる「自社ECサイト」、WordPressによる
「サイト制作」と LinkedIn記事やブログ記事を含む
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本サイトへの来訪者は、月10,000人を 超えています。

 

 

 

 

 

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