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【日本I05】 2025年越境EC総括(日本ブランドが今動くべき理由)2026.03.17

2025年の越境ECは、淘汰と再編の年だった。デミニミス撤廃で中国発モデルが揺らぎ、東南アジア・北米・欧州で戦略的に展開する日本ブランドにチャンスが到来する。越境市場は、年+15%成長し、「戦略設計」と「現地対応」が利益確保の鍵である。

 

 1. 戦略を持たなければ生き残れない時代

①「越境ECでなんとなく出品すれば、売れる時代」
が終わり「戦略を持たなければ生き残れない時代」
が本格的に幕を開けた。

2025年は、越境EC業界にとって、
パラダイムシフト の年に なった。

 

 

②以下の変化を正確に読み解き、次の一手を打てる日
系企業だけが、グローバル市場で存在感を発揮できる。

・米国のデミニミス制度撤廃
・中国発プラットフォームの失速
・東南アジア・インドの急浮上 など

 

 

③今回は、2025年の越境EC市場の総括についてお話する。

 

 

 

 2. 世界のBtoC EC市場規模は着実に拡大中

①経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」
(2025年8月)のデータによると、2024年~2025年の世
 界のBtoC EC市場成長率は 約7.7%。

 

リーマンショック後の緩やかな回復とは質が異
なる「スマホ普及」と「デジタルインフラ整備」
に支えられた構造的な成長が続いている。

 

 

②日本国内の BtoC-EC市場規模は、
2024年に、前年比 +5.1%増を記録。

物販・デジタル・サービスの
全3分野が、前年を上回った。
 ↓
EC化率も9.8%と、10%の大台目前まで迫っている。

 

 

③越境EC市場の高成長

世界全体のEC市場の中で、特に注目すべきは
年間成長率 約+15%という 越境EC市場の伸び。

 

 

④通常のEC成長率(約7.7%)の約2倍のペースで
越境ECが伸びている事実は、 日本国内市場の成熟
に悩む日系企業にとって見逃せないシグナル。

問題は「どこで、どのように売るか」の戦略設計にある。

 

 

 

 3. 地域別に見る越境EC構成比
(チャンスは「東南アジア」にある)

①2025年の地域別市場構成イメージは、以下

・アジア太平洋の構成比:約30%
・北米の構成比:約25%
・欧州の構成比:約25%
・ラテンアメリカ・中東アフリカ構成比:約20%
(参照:IMARC Group「Cross-border B2C E-commerce Market」)

 

 

②欧州EC(越境購入があたりまえの市場)

欧州では、EC売上全体の約3〜4割が越境EC。
   ↓
国境を越えた購買が文化的にも、
生活習慣的にも、 定着している。

 

 

③購入経路の約7割がAmazonなどのマーケッ
トプレイス経由とされており、以下のステップ
が有効である。

「まず マーケットプレイスに出品し、認
 知を得てから自社ECサイトへ誘導する」

 

 

④海外ブランドとの競争が 前提の市場だからこそ、
「Made in Japanの付加価値」が差別化要因になる。

 

 

 

 4. アジア全体のEC比率
(東南アジア・オセアニアが高越境比率)

①アジア全体のEC市場を見ると、 国内EC取引
が約75〜80%を占め、越境ECは20〜25%程度。

 

 

②ただし、この数字の内訳に大きな差がある。

⑴ 東アジア(日本・韓国・中国)
の2024年越境EC比率:約6〜7%。

・日本の越境EC比率は約3.5%前後
・中国の越境EC比率は約6〜8%
・韓国の越境EC比率は約2〜3%

 

⑵ 東南アジア各国の越境EC比率は東アジアを大きく上回る。

 

東南アジア各国の越境EC比率
(2023〜2024年前後の概算)は、以下。

・タイの越境EC比率:15%
・ベトナムの越境EC比率:17%
・シンガポールの越境EC比率:19%
・マレーシアの越境EC比率:15%
・インドネシアの越境EC比率:6%
・フィリピンの越境EC比率:11%
・インドの越境EC比率:10%

 

 

③東南アジア・ インド全体では、 越境EC比率が
約11〜12%で東アジア(6〜7%)の約2倍近い水準。

EC市場の絶対規模は東アジアより小さいが、越境
需要の厚みは 圧倒的に東南アジア・インドにある。

 

 

 

 5. 2025年最大の激震(米国デミニミス制度の撤廃)

「デミニミス(De Minimis)」とは ラテン語で
「取るに足らないほど小さいもの」を意味する。

 

①米国においては、1件あたり800ドル以下の
輸入貨物に対して関税・税金が免除され、通
関手続きも大幅に簡略化されていた。

 

この制度こそがSHEIN・Temu・TikTok Shop
をはじめとする 中国発D2C越境ECを爆発的に
拡大させた最大の推進力だった。

 

 

②2024年時点で、 デミニミスを利用した 米国向け小口
貨物は13.6億個、申告額にして646億ドルに達していた。

そのうちの約6割が中国・香港からの輸入品だったとされる。

 

 

③デミニミス撤廃のタイムライン制度変更は急だった。

2025年5月2日: 中国・香港発の  800ドル
以下の貨物に対し、デミニミス適用を停止

2025年8月29日:トランプ大統領の 大統領令に
より 、全世界を対象に、デミニミスを完全撤廃

 

 

④5月の中国・香港向け適用停止を受けて、Temu・
SHEINは米国消費者への中国からの直接配送を停止。

 

一時的に、 国際郵便ベースの米国向け
小包が7〜8割消えたと報告されている。
  ↓
物流大手DHLも一時、 800ドル超の B2C出荷
の受け付けを停止するなど、物流インフラ全
体に混乱が広がった。

 

 

 

 6. 日系企業への影響(追い風と新たな壁)

①8月29日の 全世界向け完全撤廃によ
り、日本製品も、例外ではなくなった。

 

 

②「売上が伸びても利益が残らない」
構造に陥るリスクが現実化している。

関税・物流コスト・決済手数料・チャージバッ
ク対策費用を全て織り込んだ逆算型の価格設計
が、今や生命線となっている。

 

 

 

 7. 2025年以降の越境EC戦略
(3つの市場で日本ブランドはどう戦うか)

【戦略❶】東南アジア市場

①越境需要の厚みを考えると、東南アジア(特に
タイ・ベトナム・シンガポール・マレーシア)は
日系企業にとって、手堅い新規市場候補である。

 

現地ではShopee / Lazada / TikTok Shop
が、圧倒的な存在感を持つ。
   ↓
まずはこれらのプラットフォームを活用して
販売テストを行い、どの国・商品カテゴリが
反応するかを検証することが先決。

 

 

②実践的なポイントを整理すると、以下。

⑴ Shopee・Lazada・TikTok Shopで、
テスト販売し反応の良い国を絞り込む

⑵ 広告費・インフルエンサーマーケティング予算を
事前に確保する (認知なしに、売れる市場ではない)

⑶ 輸入禁止成分・ラベリング規制の
チェックは必須(特に化粧品・食品)

⑷ 中価格帯×セット販売など、現地
消費者の購買力に合わせた 価格設計

⑸ 現地の信頼できる代理店・パートナーとの連携
により、 クレーム対応・ローカライズを 強化する

 

 

③日本製の食品・コスメ・日用雑貨
は、東南アジアで根強い人気を持つ。

「日本から届く本物の品質」というブランド
 ストーリーを現地語で丁寧に発信すること
 が、価格競争から抜け出す鍵。

 

 

【戦略❷】北米市場
(低単価・直送から、中〜高単価・現地在庫へ)

①デミニミス撤廃後の北米市場は低単価×直送
型の 「越境ECモデル」が、 根本から崩壊した。

 

Temuが体現してきた ビジネスモ
デルは、機能しなくなりつつある。
  ↓
その空白地帯に、日本ブランド
が、割って入るチャンスがある。

 

 

②ただし、条件がある。取るべき戦略は、以下。

・低単価×直送ではなく、中〜高単価×現地在庫
(FBA活用等)へ転換すること。
   ↓
関税・物流費・手数料を含めた逆算価格設定が前提。

 

・チャージバック・不正注文対策を組み込んだ決済
設計(Shopify Paymentsの 不正防止機能活用など)

 

 

③以下のストーリーを徹底的に磨く。
「なぜ北米の消費者が、日本ブランドを選ぶのか」

 品質・職人技術・安全性・日本文化との接点
 など、中国製品との差別化軸を「言語化する」。

 

 

④アニメ・日本文化への関心が高い Z世代〜
ミレニアル世代をターゲットにしたコンテン
ツマーケティングの展開する。

Shopifyで自社ECサイトを構築し、Amazon
のFBAと連携するハイブリッド戦略が実践的。

 

 

【戦略❸】欧州市場
(規制対応と「Made in Japan」ブランドの融合)

①欧州市場は規制が多いが、一度参入できれ
ば、安定的な売上が見込める成熟市場である。

欧州消費者は品質・サステナビリティ・透明性を重視
する傾向が強く、日本製品との相性は本来非常に良い。

 

 

②実践的な対応ポイントは、以下。

⑴ VAT(付加価値税)・IOSS(輸入ワンストッ
プショップ) への対応を、 最初から 組み込む。

後付け対応はコストと手間が大幅に増加する。

 

⑵ EU域内のハブ倉庫(例:オランダ・ドイツ)
を起点とした ラストマイル配送の 国内配送化。

リードタイムの短縮がカート放棄率の低下に直結する。

 

⑶ 規制・認証・ラベリング対応(成分表示の現
地語化、CEマーク等)を事前にクリアしておく。

 

⑷ 欧州消費者が重視する「クリーンビューティ」
「サステナブルパッケージ」「トレーサビリティ」
などのキーワードを商品説明に落とし込む。

 

⑸「Made in Japan」の安心感と職人技の物語
を、英語・仏語・独語で発信することで、価格
以外の競争軸を確立する。

 

 

 

 8. まとめ

①2025年の越境EC市場を一言で表すなら、以下。

「淘汰と再編の元年」。
 ↓
中国発の格安ECが、制度の壁にぶつかり、物流
コストが上昇し、 消費者の目も肥えてきました。

 

 

②この「混乱期」が日本ブランドに
とって最大のチャンスでもあります。

世界の越境EC市場は年間+15%で成長中。
一方、日本国内のEC市場成長率は+5.1%。
  ↓
その差は戦略次第で埋められる機会として存在します。

 

 

③以下の現実を踏まえた上で、自社のブランド
ストーリーを世界語で語れる企業が、次の10年
の越境EC市場を制します。

 

⑴ 東南アジアの越境EC比率の高さ(タイ
15%・ベトナム17%・シンガポール19%)

⑵ 北米における中国発モデルの失速

⑶ 欧州の「品質志向」市場

 

 

④Shopifyや WordPressを活用した 自社ECの構築は、
「ブランドの世界観を管理するための本拠地」 です。

 

自社のデジタル資産として育てて
いく視点が今、求められています。

 

 

 

 

 

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