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【日本H82】「チャイナ+1」次の一手はどこに?ASEANを徹底比較2026.02.23
1. 何となく失敗しないために ASEAN5ヶ国を語る
1. 中国リスクの分散とは言うが、どこの国がいいの?
①タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン。
以下の問いに明快に答えてくれる人がなかなかいない。
「自分の会社はどこに行けばいいのか?」
②中国への一極集中のリスクは以下のような経
験を経て、多くの企業が認識するようになった。
・人件費高騰
・米中貿易摩擦
・新型コロナウイルスによるサプライチェーン途絶
③だが問題は、その「次の一手」にある。
チャイナ+1 戦略による 調達・生産の多角化は、
単純な中国離れではなく、中国事業を維持しな
がら「全体としてのリスク」をいかに下げるか、
という企業の検討の一環。
↓
つまり「完全撤退」ではなく「分散」が正解である。
④だとすれば、 問題は以下。
「どの国に何をやらせるかという選択の精度」
今回は「サプライチェーンの拠点」としての強みと、
「これから伸びる市場」としての魅力、この2つの
視点から「進出先」を検討すべきASEAN5ヶ国につ
いて、ランキング形式でお話する。
2. あなたの「目的」で、選ぶ国は変わる
まず 以下を断言しておく。
「完璧な国」は存在しない。
↓
だから、自社の優先順位を先に決
めることが、 全ての出発点になる。
3.【第1位】ベトナム
(ミニ中国と呼ばれる生産拠点の申し子)
①サプライチェーン視点:
世界が注目する「生産の最前線」
ベトナムは「チャイナ+1」の最大の勝ち組。
日系企業の 海外拠点数の変化を見ると、中国の
拠点数が減少する一方で ベトナムでの拠点数が
急増しており、 政府の 「外資誘致政策の強化」
とASEAN全体での「製造業移転」が進んでいる。
②ベトナム人労働者の最大の強みは「勤勉さ」と「若さ」。
縫製や組み立てといった 繊細な作業を必要
とするBtoB部品製造には、特にマッチする。
↓
しかし電力需給の逼迫、特に北部の電力逼迫
リスクが存在し、工場稼働率の下振れリスク
として、計画段階から考慮する必要がある。
③市場視点:住宅・インフラが爆発する「バブル前夜」
市場として見たとき、ベトナムの魅力は
「国民のマイホーム願望」 の強さにある。
ホーチミンやハノイの街を歩けば、まるで日本
のバブル期のように建設ラッシュが続いている。
↓
BtoB企業にとって、建設資材、空調設備、
産業用機械の需要が 着実に拡大している。
④向いている業種:電子部品、機械加工、
繊維素材、建設関連資材、換気・空調設備
(参照:Syntax Partners「ベトナム進出とチャイナ+1戦略の現在地」)
4.【第2位】インドネシア
(2億7,800万人の胃袋を抱えるこれからの主役)
①市場視点:ASEAN最大の消費マーケット
正直なところ、サプライチェーンの「生産拠点」
として見た場合、インドネシアはインフラの面
で、ベトナムやタイに一歩遅れを取る。
ジャカルタの渋滞は、悪名高く、物流
コストを跳ね上げる要因になっている。
↓
しかし人口の圧倒的なスケールを軽く見てはいけない。
②2024年3月現在の インドネシアの人口は、
2億7,870万人を超え、中国・インド・米国
に次ぐ世界第4位の規模。
2030年代には3億人を突破すると予想されて
おり、 2024年の労働人口は、 1億4,938万人
と総人口の 53%を占める。
↓
しかも、この国の人々は「今、自分が欲しいもの」
にお金を使う傾向が、 東南アジアの中でも、際立
って強い。
③BtoBで、狙うべきは、食品包装機械の
ような 「消費を支えるインフラビジネス」。
④サプライチェーン視点:資源の宝庫
インドネシアは、「作る工場」というより
「素材を掘り出す国」としての側面が強い。
ジョコ前政権が推進したニッケル鉱石の輸出禁止
と国内精錬誘導によって、 ニッケル関連輸出額は
2017年の33億ドルから2023年には335億ドルへと
約10倍に急増した。
インドネシアは今や、世界有数の
ステンレス鋼生産国となっている。
↓
以下のようにニッチで堅実なBtoBビジネス
が根付いているのが、 インドネシアの特徴。
・資源関連のプラントエンジニアリング
・鉱山機械のメンテナンス など
⑤インドネシアの2024年のGDP成長率は
5.5%を記録し、アジア太平洋地域で注目
される経済大国としての地位を強化した。
この安定した成長軌道が、長期投
資先としての魅力を裏付けている。
⑥向いている業種:食品包装機械、プラント設備、
鉱山関連機器、物流インフラ、EVバッテリー関連
(参照:東京都産業労働局「X-HUB TOKYO インドネシア経済コラム」)
5.【第3位】タイ
(老舗の安定感と、深化する技術)
①サプライチェーン視点:
日本の「サブ工場」から「高付加価値拠点」へ
タイは説明不要の、日本製造業の弟分。
↓
日系企業の進出密度はASEAN随一で、日本語が通
じるサプライヤーや サービス業者がすぐ見つかる
「日本人に優しいエコシステム」が完成している。
これは、後発で、進出する企業にとっ
て、想像以上のアドバンテージになる。
②タイは、ASEAN全体の経済統合が、進む中で、
地域全体のハブとしての地位を 確立しつつある。
特に自動車産業やエレクトロニクス分野では、
すでに成熟したエコシステムが存在し、中小
企業の参入余地も広がっている。
③ここでのポイントは「守りから攻めへの転換」。
人件費が上がった今のタイで作るものは、
「価格」ではなく「品質と納期」で勝負
する商品であるべき。
↓
以下のような製造には、タイの熟練した
技術者とサプライチェーンが生きてくる。
・EV(電気自動車)シフトを見据えた自動車部品
・高度な精密加工が求められる部品
④市場視点:成熟社会の「アップデート需要」
市場としてのタイは、もはや爆発的な成長はない。
↓
しかし、 人口 6,000万人超のそこそこ豊
かな国は、東南アジアでもそう多くない。
⑤BtoBで見るべきは「老朽化した設備の更新需要」。
工場の省エネ化、自動化、DX化。
日本と同じ課題をタイも抱えており、 日本の製造
業が経験してきた課題解決のノウハウをパッケー
ジとして売り込める市場として機能している。
⑥向いている業種:自動車部品 (EV関連) 、工作
機械、 工場設備メンテナンス、省エネ関連機器
6.【第4位】マレーシア
(ハイテクとハラールの架け橋)
①サプライチェーン視点:半導体後工程の世界的ハブ
英語が通じる人材が多く、知的財産保護の意識も高い。
マレーシアは世界第6位の半導体輸出国であり、
世界の 半導体の テスト・パッケージング工程
の約13%がマレーシアで行われている。
↓
2023年の製造業への投資認可総額のうち、半導体を
含む電気・電子産業への投資は全体の 56%を占めた。
②グローバル大手企業の動きが、周辺の日系部品メー
カーにとって、 大きなビジネスチャンスを生んでいる。
単なる組み立てではなく、ウェハーレベルや、精密
測定など、一段上の技術を必要とする部品製造には、
クリーンで整備された工業団地が最適である。
③市場視点:ハラール認証の世界的ゲートウェイ
マレーシアのもう一つの顔は「イスラム圏への入り口」。
マレーシアで取得したハラール
認証は世界的にも信頼度が高い。
↓
食品や、化粧品の原料を扱うBtoB企業であれば、
マレーシアで認証を取ることで、 中東やその他
のイスラム諸国への輸出ルートが一気に開ける。
これは、他国では代替できない独自の戦略的価値。
④向いている業種:半導体関連部品、
精密機器、ハラール食品原料、化学製品
(参照:JETRO「後工程のグローバルハブへ躍進するマレーシア」)
7.【第5位】フィリピン
(眠れる工業国と「英語」という最強の武器)
①サプライチェーン視点:
フィリピンはこれまで製造業の
拠点としては地味な存在だった。
↓
しかし、 チャイナ+1 の波はまずベトナム、次に
タイ・インドネシアへと、波及し、次の次の選択
肢として、フィリピンが浮上してきている。
②フィリピンは積極的なインフラ整備に加え、
英語を話せる人材を確保しやすい点が大きな
魅力で、海外企業に対して手厚い優遇制度を
提供していることも特徴。
これらの理由から チャイナ+1 戦略
の進出先候補として注目されている。
④最大の武器は何と言っても英語力。
英語が公用語であるため、製造
現場の指示書が、英語で通じる。
↓
これはグローバル展開を視野に入れた場合、
想像以上に、大きなアドバンテージになる。
多言語対応が当たり前のBtoB製品においては、
英語ができる 現場スタッフの存在は、品質管
理とコミュニケーションの両面で効いてくる。
⑤市場視点:BPOで稼ぐ中間層の消費が底堅い
フィリピン経済の特徴は、BPO(ビジネス・
プロセス・アウトソーシング)やコールセン
ターで働く中間層が厚いこと。
彼らは安定した収入があり、クレジットカ
ードを持ち、新しいサービスにお金を使う。
↓
BtoBで狙うなら「サービス業を支えるビジネス」 がはまる。
⑥向いている業種:自動車部品(中古車需要もあり)、
事務所設備、セキュリティ関連、人材派遣サービス
8. まとめ(データだけ見れば、どこも一長一短)
①以下は数字には表れない、その国の「体温」。
・ベトナムのホーチミンで、雨の中
を忙しなく、配達される大量の荷物。
・ジャカルタの渋滞の中で聞こえて
くる、隣の車のクラクションの喧騒。
・タイの工場で黙々と溶接をしながら、
ふと見せてくれるベテラン工員の笑顔。
②あなたが実際に足を運び、五感で感じ取っ
た「違和感」や「面白さ」は必ず、その後の
ビジネスを正しい方向に導いてくれます。

③中国事業を縮小または、 第三国に移転・撤退す
ると回答した日系企業は、6.3%に留まっています。
つまり多くの企業は「脱中国」ではなく、
「中国+ASEAN」 の両立を 選んでいます。
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