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【日本H87】 海を渡るデジタルグローバル戦略「二重航海術」の全て2026.02.28
1. あなたの羅針盤は、どこを指していますか?
①以下のように考えたとき、多くの経営者が最初に
感じるのは「何から手をつければいいかわからない」
という戸惑いではないでしょうか。
「海外にECサイトを立ち上げたい」
「中国とグローバルで同時展開したい」
②デジタルの海原に船を出す日系企業が、
今、最も必要としているものは「羅針盤」。
目的地の「中国地域」と「その他の世界」
では、海流も、気候も、まったく異なる。
↓
同じ帆の張り方ではどちらかの海
域で遭難してしまうかもしれない。
③今回は、実際にニーズが高い順に4つの
デジタルグローバル戦略についてお話する。
2.【第1位】デュアル・ローカライゼーション戦略
(二つの海に、二つの帆)
①グローバルビジネスにおいて、ニーズ
が最も高いのは「二刀流」のアプローチ。
中国地域とそれ以外の地域で 完全に別々のローカ
ライゼーションを行う戦略、いわば、「デュアル・
ローカライゼーション」が、 今や日系企業のデジ
タル海外展開における最重要戦略となっている。
②なぜ「二刀流」が必要なのか?
その背景にはあまりにも異なるデジタル生態系があるため。
⑴ 中国では、微信(WeChat)が人々の生活の基盤。
決済はAlipay(支付宝)やWeChat Pay(微信支付)
が主流で、検索エンジンは百度(Baidu)が圧倒的
なシェアを誇る。
さらに、抖音(TikTok中国版)や小紅書(RED)と
いったプラットフォームが購買行動に直結している。
⑵ 中国以外の地域では、Google、Facebook等が標準。
ECならAmazonやShopify、決済は
クレジットカードや PayPalが中心。
↓
これらは単なるツールの違いではない。
「ユーザーの行動原理」そのものが違うことを意味している。
(例❶)ある日系化粧品メーカーの「帆の張り替え」
欧米向けには「自然でナチュラルな美」を訴求す
る Instagram中心のキャンペーンを展開した一方、
中国市場では「美白効果を数値で証明」する動画
を 抖音(Douyin)で配信し、WeChatミニプログ
ラム(小程序)でカスタマーサービスを提供する
という、まったく異なるアプローチを採用した。
③同じブランドでも、海が変われば帆の形も変える。
これが成功の秘訣。
この戦略の根底にあるのは、以下。
・中国の超アプリ文化
・独自のインターネット規制(グレートファイアウォール)
↓
WeChatひとつで、メッセージ・決済・ショッピ
ング・予約が 「完結」する生態系は、 世界でも
特殊であり、それに合わせた戦略構築が不可欠。
④Shopifyを使ったグローバル向けECと、 中国向け
のTmall (天猫) などへの出店を 並行して進める企業
が増えているのも、この「二重構造」を現実的に実
装するため。
3.【第2位】データ分離型カスタマージャーニー設計
(二つの日記をつける旅人)
①次にニーズが高いのは顧客の旅路(カスタマ
ージャーニー)を最初から別々に設計する方法。
データの収集・管理システムそのものを
「分離する」この戦略は、プライバシー規
制の違いから必然的な選択となっている。
②それぞれの国が異なるルールを定めている。
・欧州のGDPR(一般データ保護規則)
・カリフォルニア州のCCPA(消費者プライバシー法)
・中国の個人情報保護法(PIPL)とサイバーセキュリティ法
↓
特に中国のサイバーセキュリティ法(2017年施行)
および個人情報保護法(2021年施行)は、中国国
内で収集された、 データの国外持ち出しに対して、
厳しい制限を設けている。
「重要データ」に該当する情報を中国国外のサーバーに転送す
る際には、セキュリティ評価や標準契約の締結が求められる。
③そのため、賢い日系企業は以下を別々に構築する。
・中国内で完結するデータ基盤
・グローバルデータ基盤
(例❷)ある日系自動車部品メーカーのデータ戦略
中国市場向けの問い合わせフォームとカスタマー
サポートシステムを、完全に中国国内のサーバー
(阿里雲=Alibaba Cloudまたは騰訊雲=Tencent
Cloudなどの中国国内ICP)で運用。
一方、欧米向けのサイトはAWS(Amazon
Web Services)の 「グローバルインフラ」
を使用するという二重構造を採用した。
↓
これにより、規制遵守を確実にしつつ各地域で
最適な顧客体験を提供することに成功している。
③背景には、地政学的リスクへの意識の高まりがある。
米中摩擦やデータローカライゼーション規制の
強化により、「どこにデータを置くか」 が 今や
ビジネス継続性を左右する、経営戦略の出発点
となっているのである。
4.【第3位】支払いと物流の二重システム構築
(血液と血管の地域最適化)
①デジタル戦略は、目に見える部分だけではない。
支払いと物流の最適化こそが、顧客体験の
根幹を支える「血液循環システム」である。
②中国では、QRコード決済(Alipay・WeChat Pay)
が日常に溶け込んでおり、 物流は京東 (JD.com) の
JD Logisticsや、 菜鳥ネットワーク(アリババ傘下)
による超高速配送が標準となっている。
③欧米では、クレジットカード決済が依然と
して主流であり、 PayPalやStripeが補完する。
(例❸)ある日系家具メーカーの地域別物流・決済設計
中国では「当日配送・組み立てサービス付き」
を 全面に打ち出し、 WeChatミニプログラム
内で完結する購入フローを設計。
顧客が一度もアプリを離れることなく、 注文
から配送追跡まで完了できる体験を実現した。
一方、欧州では「自分で組み立てる楽しみ(DIYの喜び)」
を強調することで、IKEAとの差別化を図りつつ、PayPal
を中心に、 Apple Pay・Google Payも含めた多様な決済
オプションを用意した。
④この戦略の背景にはコロナ禍 (2020〜2022年)
で、加速した「配送への期待値の変化」がある。
中国の消費者は当日配送を当然と期待する一方、
欧州では CO₂排出量を抑えたエコフレンドリー
な配送オプションを好む傾向が強まった。
5.【第4位】コンテンツの文化的翻訳戦略
(言葉以上の文化翻訳)
①コンテンツの文化的翻訳
単に日本語を中国語や英語に訳すのではなく、
「文化的参照点」そのものを置き換えるという、
より高度な戦略である。
②日本で「夏の風物詩」と言えば、風鈴や金魚
だが、独国では夏至の焚き火、米国ではバーベ
キューやビーチパーティーが連想される。
③この戦略の根底には、日本文化
の特殊性への謙虚な気づきがある。
私たちが「当たり前」と思うことの多くは、
世界では、まったく「当たり前」ではない。
↓
この認識こそが、真に効果的なグ
ローバル戦略の出発点なのである。
6. 羅針盤の指す先(「柔軟な二重構造」という共通項)
①4つの戦略を見てきて、一つの共通点にある。
それは「二重構造の柔軟さ」。
↓
日系企業が成功しているケースの多くは、 中国と
中国以外を単純に二分するのではなく、 それぞれ
の海域に 最適化した「帆」を用意しながら、船体
(ブランドの中核的価値)は 一貫させている点に
特徴がある。
②最も重要な気づきはこれら4つの戦略が単な
る手段の違いではなく、以下を求めていること。
「考え方の根本的な転換」
③私たちは無意識のうちに「自国中心主義」に陥りがち。
以下の思い込みが、グローバル展
開の失敗を招く、最大の落とし穴。
「日本でうまくいったやり方が海外でも通用するはず」
④真のデジタルグローバル戦略とは、この
バイアスを自覚的に取り除く作業から始まる。
デジタルの海には、確かな地図も唯一の正解もない。
↓
しかし 二つの海域の潮の流れを読み分
ける羅針盤はある。 それは以下の3つ。
・謙虚に現地を理解しようとする姿勢
・自文化の常識を一度括弧に入れる勇気
・異なる海には異なる航海術が必要という事実を直視する覚悟
7. まとめ(中小・中堅企業が実行すべき
「5つのデジタルグローバル戦略」ロードマップ)
①️中小〜中堅企業でも実行可能な、日系企業が採るデ
ジタルの海外戦略で最も需要が高い上位5つは、以下。
【第1位】越境EC(ローカライズ)
主な狙い:商品訴求と決済・物流の最適化
【第2位】現地SNSマーケティング
主な狙い:ブランド認知と顧客接点の確保
【第3位】グローバルデータ基盤
主な狙い:経営の見える化と迅速な意思決定
【第4位】クラウド
主な狙い:SaaS標準化 | 運用コスト削減とスケール性
【第5位】現地パートナー連携開発
主な狙い:法規制対応と文化適応
②各戦略の意義と背景
第1位:越境EC/ローカライズ:
消費者接点が、オンライン中心へと移行した現在、
決済・配送・言語対応の品質が売上に直結します。
↓
以下の並行展開は、最初に取り組むべき最優先事項です。
「ShopifyによるグローバルEC」と「中国向けプラットフォーム」
第2位:現地SNSマーケティング:
中国やASEAN諸国では、プラットフォーム
が多様であり、 現地での信頼構築なしには
購買に至りません。
第3位:グローバルデータ基盤:
複数拠点にまたがる 「見える化」が経
営判断を速め、DX推進の核となります。
↓
データの所在地を戦略的に設計する
ことで規制リスクにも備えられます。
第4位:クラウド/SaaS標準化:
日本本社と現地で同じ業務プロセスを回
すことで、保守性と拡張性が高まります。
↓
ERPや CRMのクラウド化は、グロー
バルスケールの基盤投資として有効。
第5位:現地パートナー連携:
法規制や文化的差異を乗り越える最短ルート。
↓
現地に精通したパートナーとの協業は「実務負荷」を
大幅に軽減しながら適切なローカライズを実現します。
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