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【日本I88】 多くのグローバル企業が中国で勝ち抜く道を選ぶ理由2026.06.08

1.「中国から逃げている」は本当か?数字が語る逆説
①2025年、中国経済をめぐる語
り口には 根強い二項対立がある。
「衰退か、それとも依然として巨大か」
↓
しかし現場の数字を丁寧に読め
ば、答えはそのどちらでもない。
「選別と再配置の時代に入った」が正確。
②まず事実から入ります。
中国の 2025年実質GDP成長率は 5.0%を達
成し、政府の年間目標を確実にクリアした。
↓
ただし注目すべきは数字の「中身」。
2025年、中国の貿易黒字は記録的な 1.2兆ドルに
達し、純輸出のGDP成長への貢献率は32.7%——
1997年以来最高水準となった。
③一方、内需は依然として低調で、不動産
市場の調整とデフレ圧力が、消費者心理を
慎重にさせています。
つまり以下のアンバランスな構造が続いている。
「工場としては絶好調だが、買い手はまだ慎重である」
2. では外資は「逃げている」のか。
① FDI(外国直接投資)の 実額が、
3年連続で減少しているのは事実。
しかし、実態はより複雑です。
↓
2025年に、中国全土で新設された外資系企業
は 7万392社、 前年比 +19.1%という急増ぶり。
②以下が現実。
「資本の流れは慎重でも、事業の布石は積極的」
「撤退」ではなく「縮小しながら再配置する」とい
う、より洗練された戦略へのシフトが起きている。
③日系企業に限ると、話はさらに込み入っている。
JETROの2024年調査によれば、中国で、営業黒字を
見込む日系企業の割合は58.4%にとどまり、 2012年
の反日デモ直後以来最低水準となった。
↓
拡大意欲を示した企業も 21.7%と過去最低。
楽観を許さない数字ですが、同調査は、同時に、
黒字かつ拡大意向を持つ企業が明確な勝ちパタ
ーンである以下を持っていることも示している。
・ブランド力の維持
・デジタル活用
・人材育成
④中国で勝てないのではなく、以下になったということ。
「戦い方を変えた企業だけが勝てる時代」
3. なぜ中国を捨てられないのか。4つの構造的優位性
①ここが核心。
②中国市場には、他の新興国では代替
できない「構造的な強み」が4つある。
【強み❶】超大規模市場の持続的な吸引力
2025年、中国のGDPは、140兆元を初めて突
破し、1人当たりGDPは 9万9665元に達した。
中産階級は、すでに4億人を超え、
都市化率は68%近くに達している。
↓
「成長率が鈍化しても、 その絶対的な増分は中
規模経済一国分に相当する」というスケール
感は、他のいかなる市場でも得られない。
【強み❷】他に類を見ない完全産業システム
中国の製造業付加価値額は世界シェア約30%。
41の工業大分類と、666の小分類を
カバーするサプライチェーンは唯一無二。
↓
長江デルタのEVメーカーが、4時間以内に必要
部品を調達できる——このスピード感は インド
でもベトナムでも再現できない。
【強み❸】「エンジニアボーナス」の時代へ
人口ボーナスが終わりを迎えつつある中国で
次の優位性は、「STEM人材」の厚みにある。
中国は2022年に5万件以上のSTEM博士号を授与
し、 2007年に米国を追い抜いて以来、 一貫して
STEM博士号の輩出数で米国を上回り続けている。
↓
AIや半導体の研究開発を圧倒的なコスト競争
力で回せるのは、この人材基盤があってこそ。
【強み❹】政策継続性というビジネスの土台
「5カ年計画」に代表される中長期的な政策の一貫性
は、ビジネス計画を立てる上で、極めて重要な要素。
AI産業を例に取れば、2016年から2025年にかけて
段階的に政策を進化させ、市場規模は7000億元を
超えた。
「ぶれない国」という安心感は、長期投資を検
討する企業にとって計り知れない価値を持つ。
4. 内需の底上げ(3つの確実なチャンス)
①輸出頼みの成長構造に、変化はないものの、
内需にも「見逃せない機会」が生まれている。
【機会❶】サービス消費の拡大余地
2025年、 中国のサービス消費は一人当たり 4.5%増
を記録し、家計消費全体の46.1%を占めるに至った。
米国の70%、日本の65%と比較すると、伸びしろは大きい。
↓
特に、観光・文化(文旅)、飲食、医療・
介護、スポーツは 政策の重点分野である。
ビルケンシュトックが広州で展開した
「足健康体験イベント」はその典型例。
「売って終わり」ではなく、体験でブランド価
値を高める時代への転換点を、象徴している。
【機会❷】下沉市場(地方都市)の底力
一線・二線都市(北京・上海など)の消費が鈍化
する一方、 三線以下の都市がFMCG(日用消費財)
成長の約8割に貢献している。
モンデリーズ (オレオ等を展開) は、 ディスカウ
ントストアや、会員制ストアを活用し、「値上げ」
ではなく、「販売数量と製品ミックス」で勝負す
る戦略を取っている。
以下に、大きな設計余地がある。
「価格には敏感でも質も求める地方消費者をどう掴むか」
【機会❸】悦己消費(自分へのご褒美消費)の台頭
ストレス社会の中で「感情的価値」
を買う消費者が、急増している。
ペット、アニメ、推し活、スポーツ、自己啓発
↓
「機能」ではなく、 「共感とアイデンティティ」
でブランドを選ぶ世代が主役になりつつある。
lululemonの成功はその典型。
2024年第1四半期、lululemonの中国大陸での売上
高は、定数ドルベースで、前年比+52%を記録した。
第3四半期も+39%と高成長を維持しており、コミ
ュニティ運営を軸にした「体験型ブランディング」
が中国市場で機能していることを証明している。
5.「内巻き」の現実(消耗戦を勝ち抜く3つの戦略)
① 中国市場のもう一つの顔、「内巻き」
(ネイジュアン) から目を背けてはいけない。
・有効需要の不足と生産能力の過剰
(設備稼働率は75%を下回る水準)
・製品の同質化
・補助金で生き残る非効率企業の存在
↓
この3つが重なり、価格戦争が常態化している。
②自動車業界はその最前線。
2025年の 中国自動車産業の利益率は、
4.1%と、史上最低水準に 落ち込んだ。
12月単月に至っては 1.8%という極限の数字を記録した。
↓
量を売っても儲からないという消耗戦のリアルがここにある。
③では、どう戦うか。
多国籍企業の逆襲から3つの戦略を抽出できる。
【戦略❶】戦略的権限委譲
(「本社主導」から「現地主導」へ)
VWは、中国に独立したR&D体制を構
築し、 車種定義を 中国チームに委譲。
トヨタは現地チームがスマート化仕
様を柔軟に決定できる体制を整えた。
↓
「現地のスピード感」に合わせる
ことなしにもはや勝ち目はない。
【戦略❷】共同開発と「逆知識移転」
VWと小鵬汽車がEVプラットフォームを共同開発し、
トヨタとHuaweiが スマートコックピット連携に取
り組み、デンソーとMediaTekがADAS向けSoCを共
同開発。
「技術を輸出するだけ」の時代は終わり「中国の
技術を世界に逆輸入する」流れが始まっている。
【戦略❸】サプライチェーンの完全ローカライズ
テスラ上海工場の部品現地調達率は 95%超。
VWは、国軒高科(電池)に出資し、
地平線(半導体)と 合弁を 組んだ。
↓
コスト削減と、供給安定性の両立は、
ローカライズなくして実現できない。
6. 制作会社として、今できること
①「撤退か継続か」という、
二項対立はもはや時代遅れです。
問うべきは「何を」「どこで」「誰に」「どう見せるか」
↓
その全てを徹底的に見直す「選別と再配
置」の作業が今まさに求められています。
②私たちサイト制作会社の役割もここで問われる。
サービス消費の機会を掴むなら、予約・体験・コミ
ュニティ機能をホームページに組み込む設計が必要。
下沉市場を狙うなら、WeChatエコシステムや
抖音(TikTok)との連携、 価格訴求と ローカ
ライズ表現が欠かせない。
悦己消費に乗るなら、ブランドストーリーと感情
価値を伝えるデザインとコピーが、勝負を分ける。
③内巻き競争を生き抜くために「機能」で
はなく「体験」と「共感」で、差別化する。
これは中国市場に限らず、全て
のデジタル戦略の核心でもある。
④具体的には以下のような実装が有効。
・ブランドの世界観を言語化したページ設計
・会員制コミュニティや予約システムの導入
・WeChat Pay・Alipayなど中国特有の決済・SNS連携
↓
こうした「中国の生の変化を ホームページ設計
やEC設計に落とし込む」作業こそ、制作会社の
腕の見せどころ。
7. まとめ(中国は、「崩壊」していない。
「質で勝負できる企業」のための市場)
①中国市場は崩壊していません。
むしろ「質」で勝負できる企業にとって、か
つてないチャンスが、広がっている局面です。
② 規模・産業・人材・統治という代替不能な優位性
は健在であり、内需は 「構造的回復」のフェーズに
あります(サービス・地方・悦己にチャンス)。
しかし、以下の3つの戦略で活路は開けます。
・権限委譲
・共同開発
・ローカライズ
③「中国は難しい」ではなく、
「中国をどう面白く攻略するか」
その視点で戦略を描く時、デジタルの設計図を描く
パートナーの存在がかつてなく重要になっています。
(参考)「撤退か残留か」 がいかに問いの立て方として時代遅れか
■著者プロフィール(おおつき):
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