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【日本H92】上海に仕掛けたスシローの中国展開が教えてくれたこと2026.03.05

 

 

景気が悪い時代でも、以下の3つの価値が重
なれば、消費者は、時間もお金も惜しまない。

  ・安くて本物
  ・日本ブランドへの信頼
  ・エンタメ体験

上海のスシローがそれを証明している。

 

 

 

 1. ちょっと意外な話から始めさせてください。

「中国人は今、お金を使いたがらない」

①そんな話を聞いたら、あなたはどう思いますか?

「えっ、あの爆買い大国が?」と首
 をかしげる方も多いかもしれない。

 

 

②実は今の中国、とくに、都市部の若者を中心
に「消費の冬」と呼ばれる現象が広がっている。

 

中国国家統計局、が2026年1月に発表したデータに
よれば、2025年の消費者物価指数(CPI)は前年比
0.0%と、 横ばいで、リーマンショック後の 2009年
以来、実に16年ぶりの低水準だった。
   ↓
数字が示すのは、単なる節約ではなく、消費者
が「お金を出す理由」を徹底的に吟味するよう
になったという現実である。

 

 

③その背景には以下のような現実が幾重にも重なっている。

 

【現実❶】景気の先行きへの不安

消費者信頼感指数は2025年11月時点で90.3ポイント。
 (2022年以降、平均値の100を下回ったままである)

 

【現実❷】若年層の雇用不安

国家統計局発表の若年失業率は16.9%
だが、実態は、40%超との指摘もある。

 

【現実❸】不動産市場の停滞

住宅販売額は、2021年のピーク比で
35%減、 消費者心理を圧迫している。

 

 

④外食産業はその影響をダイレクトに受ける。

・外で食べるより家で作ろう
・ちょっと高い店には行かないでおこう

 

そんな空気が漂う中、あの台湾小籠包の名店・
鼎泰豐は中国北部市場から全面撤退を発表し、
スターバックスは数十種類の飲料を値下げし
ても、苦戦が続いている。
 ↓
それなのに。

上海のスシローには今日も長蛇の列ができている。

 

 

 

 2. 2025年12月、スシローが上海に殴り込んだ

①2025年12月6日 (土) 、スシローを運営す
る、FOOD & LIFE COMPANIES(F&LC)は、
上海に2店舗同時にオープンした。

上海への出店は 今回が初めてで、
中国本土では、71店舗目 となる。

 

 

②スシローの中国展開は、 2021年に 広東省広州
市に中国本土1号店を出店して以来、 成都、武漢、
北京と着実に拡大し、2026年9月末までには、中
華圏で210〜222店舗への拡大を目指している。

 

 

③オープン直後の反応は正直、関係者も驚いたのではないか。

 

上海環球港店では開店前から多くの客が
並び始め、開店直後には入場整理券発行
後の待ち時間が最大14時間に達した。
 ↓
来場した約700組が行列を作る、 という、
もはやテーマパーク級の盛況ぶりである。

 

オンライン予約は1ヶ月先まで可能なも
のの、予約可能な全枠が即座に埋まった。

 

 

④中国のSNSでは以下のような声も飛び交った。

「840分待ちってもはやテーマパーク超えてるやろ。
 政治の空気重くても、寿司は別腹って感じで 草」。

 来店した20代女性は、以下のように語った。
「他の店に比べて、すしネタが新鮮だ」

 

 

⑤3ヶ月以上が経過した今もその熱は
冷めるどころか、むしろ加熱している。

これはもはや一時的なブームとは言い切れない。

 

 

 

 3. なぜ「財布のひもが固い」時代に人が押し寄せるのか

【理由❶】安くて本物という最強のカード

⑴ 消費者が節約モードに入った時、
真っ先に 削られるのが、「外食費」。

でも、人間というのは面白いもので、
完全に外食をやめることはできない。

 

 

⑵ 以下が、節約時代の消費者の本音。

「安くて、でも満足できるものが食べたい」
  ↓
 スシローが提供するのはまさにそのど真ん中。

 

 

⑶ マグロなど約6割の商品が1皿10元と、
日本の 価格帯に 近い設定でありながら、
日本品質の寿司が楽しめる。

 

 F&LCの広報担当者も以下と手応えを語っている。

「日本と変わらない味やサービスが受け入れられている」

 

 

⑷ 中国の飲食市場には高級和食が数多く存在する。

  でもそれは、特別な日に行く場所。スシローは
「今日のランチ」 や 「週末のちょっとした贅沢」
  として機能できる価格帯を実現した。

 

これが、節約意識の高い消費者
の心を「がっちりつかんでいる」。

 

 

⑸ 中国の若者の間では「理性消費」
という考え方が今、 広がっている。

 

高額商品の購入を控え、コスパを重
視し、計画的な消費を心がけること。
   ↓
その「理性消費」の文脈で スシローは 「安かろう
悪かろう」ではなく、「安くて本物」というなかな
かお目にかかれない体験を提供している。

 

 

【理由❷】日本というブランドはまだまだ強い

⑴ 中国の若い世代の間では日本のポップ
カルチャー、アニメ、ファッション、 そ
して、食文化への関心が根強くある。

 

SNS上では 日本旅行の体験談が人気を集め、
「いつか行ってみたい」 という憧れを持つ
人も少なくない。

 

 

⑵ そんな人たちにとって、上海でスシ
ローに行くことは単なる食事ではない。

 以下という意味合いを持つのである。
「日本を、ちょっとだけ体験できる場所」

 

 

⑶ 上海環球港店に来店した女子大生はこう語っている。

「日本旅行の際に、スシローで食べたこ
 とがあり、オープンに合わせて訪れた。
 政治状況に大きな関心はない」

 

 日中の外交関係が緊張状態にある中で
 も、 このコメントは示唆に富んでいる。

・日本のチェーン店が持つ清潔感
・サービスの丁寧さ
・食材のクオリティへの信頼感

 

 

⑷ これらは、中国国内の競合店とは一線
を画すブランド体験として 機能している。

 

節約はしたい。
でも、日常に小さな非日常も欲しい。
 ↓
スシローはその絶妙なニーズに応えている。

 

 

【理由❸】アプリ予約という賢い戦略

⑴「何時間待ち」 という状況が続いてい
るのは ただ人気があるからだけではない。

 

そこには、巧みな運営の仕掛けもある。

 

【仕掛け❶】スシローはアプリによる
予約システムを中国でも採用している。

 中国の消費者はスマホの活用に非常に長けており、
「アプリで予約して、時間になったら行く」という
 流れは、彼らの生活スタイルと完璧にマッチする。

 

 

【仕掛け❷】「今日は何時間待ち」
という情報がSNSでシェアされる。

 以下の心理が連鎖的に働く。
「それほど人気があるなら行ってみたい」
  ↓
 行列そのものが、広告になっているわけ。

 

 

【理由❹】体験格差という現代の消費心理

⑴ 消費の冬と言われながら、実は以下の分析がある。

「体験への支出は落ちにくい」
  ↓
 物を買うことは、我慢できても、
「思い出や体験」にはお金を出す。

 

これは世界共通の消費行動として注目されている。

 

 

⑵ ジェトロの分析によれば、 中国Z世代の消費行
動の特徴として「悦己(自身をよろこばせること)」
消費がある。

精神面の満足度を追求し、旅行やエンターテイン
メント、趣味に関連する消費は、活発なのである。

 

 

⑶ スシローに行くという体験は単に寿司を食べることではない。

・友達と一緒にアプリを開いて、
予約が取れたときの小さな喜び

・大型ディスプレイとタッチパネルで、
「あれにしようかこれにしようか」と迷う時間

・注文して専用レーンで届けら
れる特別なお皿を受け取る瞬間

・その様子をSNSに投稿して、
「行ったよ!」と誇らしく報告できる充実感

 

 

⑷ これは外食ではなく、「エンターテインメント」。

そしてそのエンターテインメン
トが、手の届く価格で楽しめる。
 ↓
だから、財布のひもが固くなっている時代であ
っても、 スシローは選ばれ続けているのである。

 

 

 

 4. 逆風の中で輝く企業の共通点

①スシローの上海快進撃を見ている
と、 不思議と元気が出てきませんか?

 

 以下のような単純な話ではない。

「景気が悪いから外食産業はダメ」
  ↓
 消費者が本当に求めているものを、正しい価格で、
 正しい体験とともに提供できれば、どんな環境で
 も人は集まってくる。

 

 

②実はこれは日本でも起きていたこと。

 デフレ時代に 100円ショップが躍進し、 リーマン
 ショック後に、ユニクロが世界展開を加速させた。
 ↓
「安くて本物」「価格以上の価値」 という 価
 値提案は、不況期にこそ最大の武器になる。

 

 

③スシローの上海成功は、その法則が、
「国境を越えて機能すること」を証明している。

・安くて本物という価値提案
・日本ブランドへの信頼
・スマートな予約体験
・食事をエンタメに変える空間
・SNSで拡散するコンテンツ力

 

 

④これらが見事に重なったとき、14時間待ちの
行列は「必然」だった、 と言えるかもしれない。

 

東洋経済オンラインの分析では、以下。

スシローの中国本土展開は「東南アジアなど開拓
の足がかりにもなる」と指摘されており、 今後の
アジア全域への拡大戦略においても、 上海の成功
モデルが重要な役割を担うと見られている。

 

 

 

 5. まとめ(お寿司が教えてくれること)

①財布のひもが固い時代でも、人は「価値があ
ると感じるもの」には、お金と時間を使います。

 

スシローが上海で起こしている旋風は、景気論で
も国際ビジネスの難しい話でもなく「人の心を動
かすとはどういうことか」というシンプルな問い
への、とても美味しい答えではないでしょうか。

 

 

②あなたが次に「どんなビジネスが強いんだろう」
と考えるとき、上海で今日も並んでいる人たちの
ことを、ちょっと思い出してみてください。

彼らは節約しているのではなく、ちゃんと選んでいるのです。

 

 

③そして、日系企業の経営者として、この
問いを自社に置き換えてみてほしいのです。

「うちの商品・サービスは、消費者に選
 ばれる理由をちゃんと持っているか?」。

 

 

④その問いに美味しく答えられている
ビジネスが、どんな逆風の中でも生き
残り、そして成長していく。

 

スシローの14時間待ちは、そんな普遍的な
ビジネスの真理を、 お皿の上に乗せて届け
てくれているように思えます。

 

 

※本記事は2026年3月時点の情報を元に作成しています。

 

 

(参考)スシローの成功劇から学ぶ「次世代ホームページの条件」

 

 

 

 

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