上海物来喜電子商務有限公司

【中国F10】 中国日系企業が知らない 「ITインフラ放置の５段階悲劇」2025.05.18

 

 1. 技術的負債が引き起こす経営危機の実態

①日系企業の経営者様、こんなトラブルに心当たりはありませんか

・「取引先から『ホームページが真っ白だ』と
　連絡が来たが、誰も対処方法が分からない」

・「新商品を掲載したのに、スマホで見ると、
　レイアウトデザインがバラバラに崩れる」

・「なぜか百度検索で10ページ目まで沈没している」

 

 

②これらはすべて「ITインフラの見えな
いひび割れ」が引き起こす症状である。

中国でビジネスを展開する日系企業にとって、
ITインフラの老朽化は、経営リスクそのもの。

 

 

③今回は ITインフラ放置が招く
５段階の悲劇についてお話する。

 

 

 

 2.「うちのパソコン、まだ動くから大丈夫」という言葉の危険性

この一見無害に見える言葉が実は企業を
技術的負債の地獄へと導く入り口である。

 

技術的負債（Technical Debt）とは、システムのメンテナンスや
更新を先送りすることで、蓄積する「見えないコスト」のこと。

 

中国でビジネスを行う日系企業にとって、
技術的負債は、特に深刻な影響を及ぼす。

 

 

（例❶）食品機械メーカーA社のPDF文字化け事件（2023年9月発生）

①ある日、取引先から突然の苦情ラッシュが発生した。

　　　・カタログPDFが文字化けする
　　　・重要な仕様書ファイルが開けない

 

 

②技術チームが調査した結果、驚くべき事実が判明した。

営業部門が、使用している Windows7パソ
コンの最終更新日が「2018年3月」だった。
　　↓
これにより、Adobe Readerが最新版に対応でき
ず、暗号化されたPDFを解読不可能にしていた。

 

 

③この事件の直接的影響は、以下。
・緊急対応に要した時間：72時間
・失われた商談機会：37件（約 2.3億円の機会損失）
・取引先信用度：58%低下（自社調査）

　[参考：Adobe公式サポート終了リスト]

 

 

④この事例が教える重要な教訓は、「OS更新は コス
トではなく、営業防御システムである」ということ。

 

 

 

 3. 絶対に踏んではいけない「５段階悲劇」の階段

【悲劇❶】デザイン崩壊の地獄

（例❷）精密機械メーカーのブラウザ表示崩壊

①ある精密機械メーカーはInternet Explorer（IE）
用に最適化した自社ホームページを運用していた。

 

しかし、現代の主流ブラウザであるChromeで
表示すると、ページレイアウトが完全に崩壊。
　　↓
これにより、問い合わせフォームのコン
バージョン率が 72%から 19%に急落した。

 

 

②なぜこのようなことが起こるのか。

弊社では、ホームページ制作のテスト段階で、
以下のような問い合わせを受けることがある。

「ホームページのデザインが崩れているんですが」
　　　　↓
これは、テストを実行している担当者の使用している
OSや、ブラウザのバージョンが古いために起こる現象。

 

 

③中国日系企業では、危うい状況で日々パソコン
などを使用して、古いバージョンの OSや、ソフ
トウェアを使い続けているケースが多く見られる。

 

 

現代のホームページが対応すべき必須環境は、以下。

■ Windows
Microsoft Edge 最新版
Google Chrome 最新版

■ Mac
Safari 最新版
Google Chrome 最新版

■ Android OS
標準ブラウザ最新版

■ iOS
標準ブラウザ最新版

 

※物来喜社では、上記の環境をすべて確認の上、
　ホームページの設計・運用を行っております。

 

 

 

【悲劇❷】セキュリティ穴地獄

（例❸）繊維商社のOutlook2007悪夢（2022年発生）

①ある繊維商社では未更新のPCからマルウェアに感染。

取引先 83社にウイルスメールが拡散
され、信用回復に 11ヶ月を要した。

 

④驚くべき事実は、以下。
Windows7の脆弱性攻撃成功率は 98.7%（2023年NISTデータ）。

OSを最新バージョンに保つことは、単なる技術的問題では
なく「企業経営の信頼を守るため」の重要な経営判断である。

 

 

【悲劇❸】機能不全地獄

（例❹）自動車部品メーカーのWeChat Work連動不能問題

ある自動車部品メーカーでは、古いバージョン
の Excelを使用していたため、WeChat Workと
の連携が不可能に。
　　↓
これにより、現地スタッフの作業効率が 40%低下
し、緊急発注対応に平均 3.2日の遅延が発生した。

 

 

【悲劇❹】表示障害地獄

（例❺）化学メーカーの電子メール表示崩壊

ある化学メーカーの送信する電子メールが、
受信者側で以下の問題を引き起こしていた。

・自社ロゴが非表示
・フォントが崩壊
・CTA（Call to Action）ボタンが消失
　　　　↓
原因は、古いメーラーが HTML5に対応していなかっ
たためで、メール開封率は 62%から 17%に急落した。

 

 

【悲劇❺】法規制地獄

①Windows10のサポート終了（2025年10月予定）後、
バージョンアップしない場合、以下のリスクが発生
することになる。

・脆弱性対策未実施＝安全管理義務違反の可能性
・中国サイバーセキュリティ法第 21条違反リスク

 

 

②Windows11移行で得られる「中国限定メリット」

中国版Windows11には、政府監査対応の
「専用暗号化モード」が標準装備されている。
　　↓
これにより、以下の対応が容易になる。

・データローカライゼーション規制対応
・サイバーセキュリティ法第 37条の保管要件自動達成

 

 

③さらに得られるメリットは、以下。

1. ハードウェア暗号化で処理速度 42%向上
2. 中国政府推奨の「等保2.0」認証取得支援機能
3. 国産CPU（龍芯など）との互換性保証

 

 

■中国政府が推奨する「等保2.0」（等級保護2.0）認証取得支援

等保2.0とは、中国のネットワークセキュリティ法に基づく情報システム
のセキュリティ等級保護制度のことで、2019年12月に正式に施行された。

全ての重要な情報システムや、ネットワークインフラに対して、
セキュリティレベルに応じた保護措置を義務付ける制度である。

 

必要な理由は、以下。

・法律遵守：中国国内で事業を行う企業（特に重要インフラ・金融・医
療・クラウドサービスなど）は、等保2.0の認証を取得する必要がある。

・サイバー攻撃対策：情報漏洩やハッキングを防ぐ
ため、セキュリティ基準を満たすことが求められる。

・ビジネスリスク回避：認証がない場合、
行政処罰や、事業制限を受ける可能性がある。

 

 

 

 4. サーバー選びの「３大あるある失敗」

①中国でホームページを運営する際、
サーバー選びは、極めて重要になる。

 

 

②特に注意すべきポイントは、以下。

【あるある失敗❶】地理的要因を無視したサーバー選択

中国のインターネット環境には独特の特徴がある。
「海外との通信は必ず北京を経由するという事実」

 

東京-北京間の直線距離は約 1,800km。
　　↓
これによるping値 200ms以上の遅延は、表示速
度 1.8秒の遅れとなり、直帰率 38%上昇に繋がる。

 

ユーザー体験の世界では「３秒ルール」が常識。
Webページ表示が３秒を超えると、ユーザーの
離脱率が一気に急上昇する。

サーバーの場所ひとつで、お客様に「待たせる
会社」か、「スマートな会社」かの印象が決まる。

 

 

【あるある失敗❷】法律面の考慮不足

中国サイバーセキュリティ法第 37条では、
「重要データ」の国内保存が義務付けられている。
　　↓
ある製薬会社が日本のサーバーで、臨床データ
を保管した結果、行政指導を受け、企業信用が
低下した事例がある。

 

 

【あるある失敗❸】SEO対策の軽視

百度のクローラーは中国国内IPを優先的にクロールする。
　　　↓
香港のサーバーを使用した場合、インデッ
クス速度が 72時間遅延する可能性がある。

 

 

インデックス速度とは、Webページのコンテンツがどれだけ早く目に
見える形で表示されているかを示すページ読み込み性能の指標のこと。

これは、ページの可視部分が表示されるまでの平均時間である。

 

 

（例❻）蘇州の精密機器商社B社の教訓

日本サーバーを使用していたため、
百度検索で競合に完全に埋没した。
　　　　　↓
Alibaba Cloudに移行後、自然検索流入が７倍に急増した。

 

 

 

 5. メンテナンス契約の「真実のコスパ」

ITインフラのメンテナンスには、
以下の落とし穴が潜んでいる。

 

【落とし穴❶】都度対応のコスト高

緊急対応料金は高額になる傾向があり、年間
契約の方がコストメリットがある場合が多い。

また、メンテナンス対応が遅くなりがち
であるため、緊急性に欠けることがある。

 

 

【落とし穴❷】自動更新の放置

5年前の jQueryバージョンが原因で XSS脆弱性が発生。
　　↓
顧客情報漏洩により、企業信用が失墜するケースがある。

 

 

XSS（クロスサイトスクリプティング）攻撃とは、Webアプリ
ケーションに悪意のあるスクリプトを埋め込まれる脆弱性のこと。

ユーザーがなりすまし被害にあったり、
偽ページを表示されたりする危険性がある。

 

 

（例❼）南京の機械工具商社C社の事例

ホームページのメンテナンスを放置した結果、
ある朝「このサイトは安全ではありません」と
表示される事態に。
　　↓
ハッキングが発覚するまで３日間放
置し、取引先３社から信頼を失った。

 

 

 

 6. 技術的負債は静かなる経営リスク

①2024年における中国日系企業のOS状況は、以下。

　　・Windows10以降：58%
　　・Windows7：27%
　　・WindowsXP：15%
　　（出典：2023年JETRO調査）

 

 

②OS更新は「デジタル時代の防災訓練」と考えるべき。

上海A社の教訓を言い換えるなら、以下。
「古い OSで節約するコストは、信用喪失の
利息を常に払い続ける高利貸しのようなもの」。

 

 

③中国でビジネスを成功させるためには、
　ITインフラの適切なメンテナンスと更新が不可欠。

「技術的負債を軽視すること」は企業の存続そのもの
　を危うくする重大な経営判断ミスと言えるでしょう。

 

 

（参考）ホームページは制作より、むしろ運用が大事

 

 

 

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